・第16回「外食アワード」受賞者決定

 外食産業記者会は、「外食アワード2019」の受賞者を発表した。
 「外食アワード2019」は、分野別に計6氏決定し、1月22日に「焼肉ビジネスフェア/居酒屋JAPAN」会場内(東京・池袋サンシャインシティ文化会館)にて表彰式を行う(特別協賛:焼肉ビジネスフェア事務局/居酒屋JAPAN事務局)。
 また、2019年は外食から見てどんな年であったか、どんなことが話題になったのかを象徴する言葉として、5つの「2019年外食キーワード」を発表。「タピオカ」「軽減税率」「特定技能実習制度」「サブスクリプション」「ゴーストレストラン」を選出した。
 「外食アワード」は、外食産業記者会創立25周年記念事業として制定したもので、同会加盟社の登録記者が参加している。受賞者と表彰理由は次の通り。

【外食事業者】
◆岡本晴彦氏 株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス 代表取締役

 外食企業の事業継承が大きなテーマになる中、M&Aを推進し、グループを1400億円企業に作り上げた。従来の「飲み込む」方式ではなく、経営そのものや業態開発についてはM&Aを実施した各企業の経営者たちの自主性に任せ、経理や財務など、バックヤードをホールディングスが担う「連邦経営」方式を打ち出し、新しいM&Aの形を作った。現在も新しい企業を傘下に収めながら、事業規模を拡大している。

◆文野直樹氏 イートアンド株式会社 代表取締役会長

 中華食堂「大阪王将」などの外食事業と量販店などで冷凍餃子を販売する食品販売事業の両輪で事業を拡大。外食事業と食品事業が互いに相乗効果を発揮する唯一無二のビジネスモデルを創り上げた。フルライン型フードメーカーとして成長を続け、2019年3月期の売上高比率は市販用売上高51%、外食売上高49%となった。19年9月には創業50周年を迎え、同年11月には最新鋭設備を整えた新関東工場を群馬県に竣工した。

◆田中徹氏 株式会社ステディワークス 代表取締役

 現在のクラフトビールトレンドの火付け役となった「クラフトビアマーケット」を展開。クラフトビール1杯480円の価格設定や、ビアパブながらも食事を充実させたスタイルを打ち出し、クラフトビールを広く世に知らしめた。2019年9月、東京・に日本橋の商業施設「コレド室町テラス」に開業したブルワリーレストラン「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」では、自家醸造を実現。また、クラフトビールとコラボレーションした音楽イベントを企画・運営するなど、アルコール飲料としてのさらなる可能性を模索している。

◆宮野浩史氏 株式会社クリスプ 代表取締役社長兼CEO

 カスタムサラダ専門店「クリスプ・サラダワークス」をヒットさせ、多店舗化に成功。話題の商業施設などに続々と出店し、サラダトレンドを牽引した。多店舗化を進める中で浮かび上がってきたオペレーション上の課題を解決するために、モバイル事前注文アプリ「クリスプAPP」やキャッシュレスのセルフレジを独自に開発、導入。注文時のストレス解消を考慮したアプリにより客単価増、回転率アップを実現したのに加えて、従業員の生産性向上にも貢献。効率化でできた時間を従業員が本来の勝ちある仕事である、顧客とのコミュニケーションなどに振り向けられるようにした。テクノロジーの活用により、飲食店の働き方に新たな可能性を示している。

【中間流通・外食支援事業者 兼 食材事業者】
◆布施孝之氏 キリンビール株式会社

 飲食店向けサーバー「タップ・マルシェ」は、主にクラフトビールの普及・拡大を目的に開発されたもので、2016年のテスト設置を経て、17年4月から首都圏一都三県で、翌18年3月から全国展開を開始した。ゴミとして出せる3Lペットボトルに詰めるという斬新な発想により、クラフトビール取り扱いにおける課題の1つであった「多品種・少量では扱えない」という壁を打ち破ることに成功。そのコンパクトさは、狭い飲食店の厨房のちょっとした空きスペースにも設置できることから、クラフトビール専門店以外の飲食店に瞬く間に拡大し、クラフトビールの需要開拓に大きく貢献した。デザイン性の高さから厨房だけではなく、「ホールに設置できるサーバー」としても注目を集めた。

【外食レジェンド】
◆新井泰道氏 株式会社叙々苑 代表取締役会長

 今から40年以上前、まだ世の中に「上カルビ」というものが存在しなかった頃に、来店客のひと言から生まれた「上カルビ」。レモンを添えてネギと塩味で食べさせる現在のスタイルである「タン塩」。食後のデザート、ガム…。こうしたものはすべて叙々苑が始めたこと。ただひたすら、美味しい料理を提供しようと顧客の声に耳を傾け「焼肉」を磨き続け、「料理」へ昇華させた貢献は計り知れない。グルメサイトのカテゴリーに「焼肉」というジャンルが設けられたのも、叙々苑の功績と言っても過言ではない。

(月刊誌フードライフ2020年1月号より)

Posted at - 2020/01/07(火曜日) 16:33:00 -